2026年6月30日、木星が獅子座へ——
“自分の光”が時代を動かす約1年
木星が獅子座へ
第1回
2026年6月30日、「幸運の星」と呼ばれる木星が、蟹座から獅子座へ移動しました。木星が獅子座に滞在するのは、2027年7月26日までです。
占星術において、木星は「拡大と発展」を象徴する惑星です。その木星はおよそ1年ごとに星座を移動していきます。そして木星が何座に入るかによって、社会の関心や人々が豊かさを求める方向も少しずつ変わっていくと考えます。
昨年、2025年6月10日から2026年6月29日までは、木星は蟹座を運行していました。蟹座は、家族、住まい、故郷、心のよりどころを象徴する星座です。自分が安心して戻れる場所をつくること、身近な人を守ること、自分の内側を満たすこと。そうしたテーマに光が当たった1年だったといえるでしょう。
そこから木星は、獅子座へと歩みを進めました。蟹座で守り育ててきたものを、今度は外の世界へ差し出す番になったのです。
獅子座が象徴するのは、創造性、自己表現、誇り、情熱、喜び。そして、自分にしかない光を堂々と輝かせること。木星の獅子座入りは、「誰かのようになる」のではなく、「自分だからこそ生み出せるもの」に価値が集まる時代の始まりを告げています。
宇宙に浮かぶ、本物の木星とは
占星術上の意味を考える前に、宇宙に実在する木星がどのような天体なのかを見てみましょう。
木星は太陽から5番目を回る、太陽系最大の惑星です。その質量は、木星以外の7つの惑星をすべて合わせたものの2倍以上。もし木星が空洞だったなら、その中には地球がおよそ1000個入るといわれます。
これほど巨大でありながら、木星は約9.9時間で1回転します。太陽系の惑星の中で、最も一日が短いのです。猛烈な速さで自転するため、赤道付近が外側へ膨らみ、極が押しつぶされたような形をしています。
表面に見える明るい帯と暗い帯は、アンモニアなどを含む雲と、激しく流れる大気がつくり出したものです。南半球にある「大赤斑」は、地球よりも大きな巨大嵐。少なくとも19世紀から観測され、その起源はさらに古い可能性があります。
木星が太陽を一周するのにかかる時間は、地球時間で約11.86年です。占星術で「木星はおよそ12年で12星座を一周する」と考えるのは、この実際の公転周期に基づいています。星占いにおける12年に一度の節目は、天文学上の木星のリズムと重なっているのです。

巨大な木星も、まだ知らないことに満ちている
よく知られた天体でありながら、木星には今も多くの謎が残されています。
NASAの探査機ジュノーは、2016年に木星の周回軌道へ入り、厚い雲の下の構造、磁場、重力、大気などを調べてきました。その観測データを用いた2026年の研究では、木星の大きさが従来の推定よりわずかに小さいことが示されました。赤道方向で約8キロ、極方向で約24キロの修正です。木星全体から見ればごくわずかな差ですが、太陽系最大の惑星でさえ、私たちはまだ正確に測り終えていなかったことになります。
木星をめぐる探査は、木星の周りにある衛星にも広がっています。現在、国際天文学連合に正式に認められている木星の衛星は95個。その中でも、ガリレオ・ガリレイが1610年に望遠鏡で観測したイオ、エウロパ、ガニメデ、カリストは「ガリレオ衛星」と呼ばれます。
その中でも注目されている衛星が、エウロパ。探査の結果、今現在わかっていることは、エウロパは氷に覆われた星であることです。そしてその地下には、液体の水からなる広大な海が存在する可能性があるといわれています。NASAは2024年、エウロパが生命を支えられる環境をもつかどうかを調べる探査機「エウロパ・クリッパー」を打ち上げました。木星は、一つの巨大な惑星であるだけでなく、生命の可能性を探る壮大な世界の中心でもあるのです。
なぜ木星は「幸運の星」と呼ばれるのか
西洋占星術では、木星は古くから「大吉星」、英語ではグレーター・ベネフィック、すなわち「より大きな恩恵をもたらす星」と呼ばれてきました。
しかし、木星が大きいから幸運の星になった、と単純に考えることはできません。その背景には、古代の自然観と神話の双方があります。
2世紀の天文学者であり占星術家でもあったクラウディオス・プトレマイオスは、『テトラビブロス』の中で、惑星の性質を「熱・冷・乾・湿」という当時の自然哲学によって説明しました。木星は、太陽系の中では火星と土星の間にあります。学校の理科の時間に習ったと思いますが、太陽系は「水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星」の順番で太陽の周りを回っていますから、木星は火星と土星の間を運行しているわけです。
当時の自然哲学では、火星は「火」と結び付けられ、焼き乾かす性質をもつとされました。一方、土星は「土」と関連付けられ、太陽光の届かない土の中は冷やす性質をもつと意味づけられました。その間にある木星は、熱と湿り気をほどよくもたらし、生命を育て、実りを促す性質をもつと考えられたのです。
また、木星の英語名「Jupiter」は、ローマ神話の最高神ユピテルに由来します。ギリシャ神話ではゼウスにあたり、天空、秩序、法、王権などを司る神々の王です。より広い世界を見渡し、秩序を与え、可能性を統べるイメージも、木星の象徴に重なっていきました。
こうした歴史から、占星術における木星は、発展、成長、寛容、知恵、教育、遠方への旅、信仰、法律などを象徴するようになりました。
木星の幸運とは、何もしなくても欲しいものが転がり込んでくることではありません。
今までより広い世界とつながること。知らなかったことを学ぶこと。自分の可能性を信じ、挑戦できる範囲を広げること。その結果として、人生が豊かに展開していく————それが木星のもたらす幸運です。

木星が獅子座に入ると、何が大きくなるのか
木星が運行する星座は、その時代に「もっと育てよう」「より大きく表現しよう」とするテーマを示します。
獅子座の支配星は太陽です。太陽系の中心で光を放つ太陽のように、獅子座は自分の中心から湧き上がる生命力と創造性を象徴します。
獅子座と聞くと、華やかで目立つ人物を思い浮かべるかもしれません。しかし、獅子座の本質は、単に人の注目を集めることではありません。自分の中にある喜びや情熱を、惜しまず外の世界へ差し出すことです。
子どもが夢中になって絵を描いたり、歌ったり、物語をつくったりするとき、そこには「評価されたい」という計算より先に、「これが好き」「表現したい」という純粋な衝動があります。獅子座が象徴する創造性とは、まさにそのようなものです。
そこへ拡大の星・木星が入ると、次のようなテーマが社会全体で大きくなっていくと考えられます。
- 個性や才能を表に出すこと
- 創作したものを発表すること
- 人前に立ち、責任をもって率いること
- 恋愛や遊びを通して、生きる喜びを取り戻すこと
- 子どもの個性や創造力を育てること
- 自分の名前で仕事をし、自分自身の物語を伝えること
木星が獅子座を運行するのは、2014年7月16日から2015年8月11日以来、約12年ぶりです。前回の獅子座木星期には、SNSを通した自己発信や「個人ブランド」という考え方が急速に身近になり、映像や写真で自分の世界観を見せる人が増えていきました。
今回、その流れはさらに先へ進みそうです。誰もが発信できるだけではなく、AIによって、一定水準の文章や画像、映像まで生み出せるようになった今、問われるのは技術的な巧さだけではありません。
なぜ、この人がこれをつくるのか。そこに、どんな経験、情熱、願いが込められているのか。その人にしか語れない物語や、数字では測れない体温が、改めて価値をもつようになるでしょう。
表現する人、楽しませる人に光が当たる
獅子座は、自分を輝かせること、いきいきと表現することを象徴するため、たとえば舞台、演劇、映画、音楽、ライブ、スポーツ、恋愛、遊びなどとも関係します。そのため、これからの約1年は、エンターテインメントや体験型の文化が勢いを増す可能性があります。画面の中で情報を見るだけでなく、同じ場所に集まり、同じ瞬間に歓声を上げること。ライブや舞台、スポーツ観戦、祝祭など、「ここにいるからこそ感じられる熱」が求められるようになるかもしれません。
ファッションや美容にも、獅子座らしい華やかさが戻ってきそうです。無難さや機能性だけではなく、金色、光沢、大胆な色づかい、ドラマティックなシルエット、存在感のあるジュエリーなど、「身につけることで気持ちが高揚するもの」に注目が集まるでしょう。
また、獅子座は神の星座、王の星座であるため、リーダーシップも象徴します。企業や組織では、肩書だけで人を動かすリーダーより、自らの信念を言葉にし、人々に希望や誇りを与えられるリーダーが支持されるようになりそうです。
さらに、個人の名前や顔が、仕事の信頼と結びつく傾向も強まります。会社の看板の陰に隠れるのではなく、「私は何を大切にし、何のためにこの仕事をするのか」を語れる人に、機会が集まりやすくなるでしょう。
木星が拡大するのは、長所だけではない
しかし、木星は何でも無条件に良くしてくれる惑星ではありません。その本質は「拡大」です。可能性を広げる一方で、一歩間違えると行き過ぎや思い込みまで大きくすることがあります。
獅子座の健やかな誇りが拡大して膨らめば、自信と創造力になります。しかし、自分だけが正しいという思いが膨らめば、傲慢さや独善につながります。
そのため、この時期には、自己顕示欲の肥大、派手さを競う風潮、実質より話題性を優先する動き、カリスマ的な人物への過度な熱狂なども生まれやすくなるでしょう。SNSでは、「表現したい」という喜びよりも、「注目され続けなければならない」という焦りが強まり、承認を求めることに疲れてしまう人もいるかもしれません。
獅子座の光は、ほかの誰かを暗くして初めて輝くものではありません。自分の光を認めることと、他者の光を尊重すること。その両方があってこそ、木星の拡大は豊かな発展へつながります。
“自分の光”が時代を動かす
木星が獅子座に滞在する2027年7月26日まで、社会は「その人にしかないもの」に、これまで以上の価値を見いだしていくでしょう。
完璧でなくても、自分の言葉で語ること。まだ小さくても、心から好きなものを育てること。誰かに選ばれるのを待つのではなく、自分で舞台へ上がること。そうした人の勇気が、周囲の人の心を動かし、新しい流れをつくります。
木星が差し出すのは、完成された幸運ではありません。「ここから、もっと大きくなれる」という余白です。その余白を可能性に変えるのは、自分の中にある光を信じ、行動に移す力なのでしょう。
では、木星の獅子座入りは、私たち一人ひとりにどのような幸運をもたらすのでしょうか。
木星が照らす人生の領域は、生まれた星座によって異なります。次のコラムでは、牡羊座から魚座まで、12星座それぞれに訪れそうな幸運と、そのチャンスを生かすための行動を詳しく読み解きます。
主な参考資料
NASA Science「Jupiter」「Jupiter Facts」「Jupiter Exploration」
NASA Science「Europa: Facts」
Claudius Ptolemy, *Tetrabiblos*, Book I
Theoi Greek Mythology「Zeus」
2026年・2027年天文暦

